
出血の原因を決めつける前に、習慣を振り返る
「使い方のせいなのか、歯ぐきの異変なのか」。歯間ブラシで血が出た方から、最初によく聞かれる質問です。出血の様子だけでは答えを決められず、歯ぐきの状態を見てはじめてわかることもあります。この記事では、器具の刺激と炎症を見分ける視点、歯みがきや間食などを点数で振り返るチェック表、出血が続くときの受診目安を順に紹介します。チェックは診断ではなく、何から見直すかを選ぶための道具です。仕事や家族の予定で受診を後回しにしてきた方も、相談の準備に役立ててください。
この記事の要点まとめ
- 出血は器具の刺激や歯ぐきの炎症などが考えられ、場所や回数を記録しましょう。
- 七つの生活習慣を振り返り、点数は診断ではなく見直しの目安にします。
- 出血が1〜2週間続く、腫れや痛みがある場合は歯科医院へ相談しましょう。
目次
歯間ブラシで血が出たら、まず何を見分ける?
歯ぐきからの出血は、大きく二つの方向から考えられます。一つは器具による一時的な刺激、もう一つは歯垢(プラーク)がたまって起きる歯ぐきの炎症です1。どちらか一方とは限らず、両方が重なっていることもあります。
歯間ブラシの太さや力加減が合っていない場合
すき間より太いサイズを押し込んだ。角度をつけて何度も往復させた。そんな直後の出血なら、器具の刺激によるものかもしれません。歯と歯のすき間の広さは場所ごとに違うので、一本のサイズですべてを通そうとすると無理がかかります。出血したところを強くこすり続けるのは控えましょう。サイズや当て方は、歯科医院で口の中を見ながら確認してもらうと選びやすくなります2。
出血を繰り返すときに見たい歯ぐきの変化
数日たっても同じ場所から血が出るなら、歯ぐきの様子にも目を向けてみてください。赤みが強い、ふくらんでいる、ぶよぶよしている、口臭が気になる、歯と歯ぐきの境目に磨き残しがある。いずれも歯肉炎や歯周炎で見られることのある変化です12。
ただし、一度の出血や鏡で見た印象だけで、歯周病かどうか、どこまで進んでいるかを判断することはできません。気になる変化は「いつから・どこに」を控えておくと、相談のときに伝えやすくなります。
朝、歯ぐきから血が出る場合も同じ原因とは限らない
歯間ブラシを使っていないのに、朝のうがいで血が混じっていた。そういうケースもあります。睡眠中は唾液が減りやすく、朝に気づくことが多いのはそのためかもしれません。原因は歯周病に限らず、歯ぐきの小さな傷や口内炎、服用中の薬が関わる場合もあります1。出血した場所、回数、量(唾ににじむ程度か、塊になるか)を数日記録し、繰り返すようなら歯科医院へ相談しましょう。
歯周病リスクにつながる生活習慣をチェック

歯周病の主な原因は、歯垢の中にすむ歯周病菌です。そのうえで、歯垢が残りやすくなる習慣や、体の抵抗力に関わる生活の乱れも、リスクを左右すると考えられています32。
歯みがき・歯間清掃・間食など、七つの確認項目
ここ1か月を振り返り、当てはまるものを1点として数えてみてください。
1. 疲れた日は、就寝前の歯みがきが短くなる
2. 歯間ブラシやデンタルフロスを使わない日のほうが多い
3. 間食や甘い飲み物を口にする回数が多い(夜遅い時間を含む)
4. たばこを吸っている
5. 口が乾きやすい、口呼吸をしている気がする
6. 睡眠不足が続いている、ストレスを感じやすい
7. 歯科医院での定期検診が1年以上あいている
どれも「できていない」と責めるための項目ではありません。歯と歯の間や歯ぐきの境目に歯垢が残る時間が長くなる、唾液による洗い流しが弱まるなど、歯ぐきの環境に関わる行動を並べています1。なかでも喫煙は、歯周病の大きなリスク要因として知られています32。
点数は診断ではなく、見直す習慣を選ぶ目安
この点数は習慣を整理するために当記事で作ったもので、医学的に検証された判定方法や、発症の確率を示すものではありません。読み方の目安は次のとおりです。
- 0〜1点:今の習慣を続けながら、出血の有無を見ていく
- 2〜3点:取り組みやすい項目から一つずつ見直す
- 4点以上:複数の習慣が重なっているので、歯科医院でも一緒に相談する
点数が多いからといって歯周病と決まるわけではありません。少ないから心配いらない、とも言い切れません。点数が低くても出血が続くなら、次の章の受診目安を優先してください。
糖尿病・妊娠・服用薬は、生活習慣とは別に伝える
点数に収まらない要因もあります。糖尿病と歯周病は互いに影響し合う関係にあると報告されており、血糖の管理状況は歯ぐきの状態とも関わります32。妊娠中や更年期などのホルモンの変化、一部の服用薬によって、歯ぐきが腫れやすくなることもあります。
一方で、ご家族に糖尿病の方がいるというだけで、ご自身の歯周病を判定することはできません。ご自身の持病や薬、健康診断で血糖値を指摘されたことがあるかどうかは、受診時にそのまま伝えてください。
出血が続くときの受診目安と、今日からの見直し方

チェックの点数とは別に、症状そのものから受診を考える基準を持っておくと、迷ったときに判断しやすくなります。
出血を繰り返す・腫れがあるなら歯科医院へ
次のような場合は、予約をとって相談することをおすすめします12。
- 歯間ブラシのサイズや力加減を変えても、1〜2週間ほど出血を繰り返す
- 歯ぐきの腫れ、痛み、むずがゆさがある
- 何もしていないのに血がにじむ、朝のうがいで血の塊が出る
- 口臭が続く、歯が浮いたような感じがある
出血が多く止まりにくい、強い腫れや発熱がある、顔まで腫れてきた。こうした場合は予約日を待たず、早めに歯科医院へ連絡してください。
歯間清掃をやめる前に、道具と当て方を見直す
血が出ると、触るのが怖くなりますよね。けれども歯間清掃をやめてしまうと歯垢がたまり、炎症が長引くことがあります1。見直したいのは、やめるかどうかより道具と当て方です。
歯間ブラシは、すき間に軽く入るサイズを選びます。歯ぐきを押し上げないよう、水平に近い角度でゆっくり動かすのがコツです。すき間が狭い場所では、デンタルフロスのほうが通しやすいこともあります。同じ場所を何度も傷つけてしまうときは自己流で続けず、歯科医院で使い方を一緒に確認してもらいましょう2。
忙しい日も続けやすい、就寝前と間食の見直し
いきなり全部を変えようとすると、続けるのが難しくなります。最初は「夜はお風呂のあとに歯間清掃まで済ませる」のように、就寝前のケアの時間を一つ決めるだけで十分です。
間食は、回数と時間帯をメモするだけでも夜遅くの食べ方に気づきやすくなります。食べたあとに口をゆすぐ、飲み物を水やお茶にするといった小さな工夫から始めてみてください3。あわせて出血の有無も記録し、2週間ほど続けても変化が乏しければ、受診を考えるきっかけにしましょう。
守山区で歯ぐきの出血を相談するときに伝えたいこと
出血した場所・回数・使った道具をメモして相談
予約の前に、次の点をスマートフォンのメモに残しておくと、診察の場で伝えやすくなります。
- 歯間ブラシを使い始めた時期とサイズ
- 出血した場所と回数、朝にも出るかどうか
- 腫れや痛みの有無
- 服用中の薬、ご自身の持病
仕事や家族の通院の付き添いで、自分の受診を後回しにしていた。そんな事情も、そのまま話してかまいません。当院が大切にしているのは、「あなた」にまじめで誠実な歯科診療です。これまでのケアを責めるのではなく、今の生活で続けられる方法を一緒に考えることを心がけています。
生活習慣の点数と歯科医院の検査はどう違う?
セルフチェックは、あくまで習慣の振り返りです。歯科医院では、歯ぐきの色や腫れ、歯と歯ぐきの境目の溝の深さ(歯周ポケット)、検査時の出血、歯石の付き方、歯の揺れなどを確認します2。歯を支える骨の状態を見るために、レントゲン撮影を行うこともあります。
歯科医院によっては歯科用CTや口腔内スキャナー、唾液検査を用いることもありますが、どれを使うかはお口の状態を見て、説明を受けたうえで相談します。検査の内容や通院の回数は、一人ひとりの状態によって変わります。
通える時間帯も含め、次の受診を相談する
守山区から尾張旭や名古屋の中心部へ通勤している方は、仕事帰りや休日、家族の通院と重ならない時間を先に考えておくと続けやすくなります。検査の結果をもとに、歯石除去やクリーニング(PMTC)、清掃方法の練習、次に確認する時期などを決めていきます。受診の間隔は人によって異なり、一律に決まるものではありません。処置への緊張が強い方は笑気麻酔について、小さなお子様連れの方は託児サービスについて、予約のときに尋ねてみてください。
よくある質問
Q1. 朝うがいをしたら、血の塊が出てきました。すぐに受診したほうがよいですか?
A. 一度だけで、すぐに止まったのであれば、出た場所や量を記録して数日様子を見る方法もあります。ただ、何度も繰り返す、量が多く止まりにくい、歯ぐきの腫れや発熱を伴うといった場合は、早めに歯科医院へ連絡してください。血液をサラサラにする薬を飲んでいる方は、その旨もあわせて伝えましょう。
Q2. 歯ぐきの出血は、どのくらい続いたら受診の目安になりますか?
A. 歯間ブラシのサイズや力加減、歯みがきの方法を見直しても、1〜2週間ほど出血を繰り返す場合はひとつの目安になります。期間にかかわらず、腫れや痛み、何もしていないのに血がにじむといった変化がある場合も相談をおすすめします。
Q3. 血が出ている場所は、歯みがきを控えたほうがよいですか?
A. 控えると歯垢が残り、炎症が長引くことがあります。やわらかめの歯ブラシを使い、力を抜いて小刻みに動かすなど、刺激を抑えながら清掃を続けるのがひとつの方法です。痛みが強い場合は、無理をせず歯科医院で相談してください。
Q4. 洗口液(マウスウォッシュ)を使えば、歯間清掃はしなくてもよいですか?
A. 洗口液はあくまで補助的なものです。歯と歯の間にこびりついた歯垢は、歯間ブラシやデンタルフロスで物理的に落とす必要があります。洗口液を使う場合も、歯みがきと歯間清掃を済ませたうえで取り入れるとよいでしょう。
Q5. 歯科健診の結果に「GO」「G」などのアルファベットがありました。どういう意味ですか?
A. 学校歯科健診では、「GO」は歯ぐきに軽い炎症があり経過観察が必要な状態、「G」は歯科医院での詳しい検査が望ましい状態を表す記号として使われています。大人の歯周病検診では、記載方法が自治体や健診機関によって異なります。結果票を受診時に持参すると、内容を一緒に確認できます。
参考文献
1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth
2. 日本臨床歯周病学会 公式サイト https://www.perio.jp/
3. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/
2013年 朝日大学医科歯科医療センター 研修医
2014年 医療法人愛健会 エムデンタルクリニック 勤務
2016年 おちデンタルクリニック長久手 副院長就任
2024年 森のまち歯科 開院
日本口腔筋機能療法学会
インビザライン認定ドクター
日本歯科医師会
愛知県歯科医師会
名古屋市歯科医師会
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